▼各部の活動状況 --お選びください
実務研究部
制度部
判例研究部
医業税制研究部
研修部
厚生部
青年クラブ
その他の活動
◆
これまでの医業税制研究会の報告
月日
研究課題
2017年
7月13日(木)
「
医療法人の終い方
」
4月20日(木)
「先生との話しネタ〜話が続く医療系雑誌の活用方法」
2016年
12月19日(月)
「診療所のトラブル対応と相談事例」
10月20日(木)
「
社会福祉法改正
」
8月22日(月)
「
Q&Aでみる医業関連基本知識
」
6月16日(木)
「検証!ヤフー事件」
4月21日(木)
「孔子の社会論、マルクスの価値論、ドラッカーの経営論のポイントと
人間論について」
1月21日(木)
「生産性向上設備申請事例B類型」
「社会保険診療報酬の所得計算の 特例(措置法について)」
2015年
12月17日(木)
「
医療法改正と医療法人
」
10月9日(金)
「
開業医の経営形態を巡る税対策
−個人、医療法人、MS法人、持分あり医療法人−
」
8月20日(木)
「裁決事例 歯科の必要経費について」
6月18日(木)
「
一人医療法人設立・分院開設・事業承継
」
4月16日(木)
「福祉に関する税制と会計」
社会福祉法人や福祉に関する税制について
1月15日(木)
「ドクターをめぐる相続事案」
2014年
6月19日(木)
「
医療法人とサービス付き高齢者向け住宅について
」
1月16日(木)
「
医療法人の事業承継Q&A
」
2013年
10月17日(木)
「医療をめぐる事例研究
〜京都全研分科会、関信会分科会より」
6月20日(木)
「医科・歯科の平成24年度の損益について
〜顧問先の診療所毎の損益状況を一覧にして発表」
4月18日(木)
「TPPは日本の医療制度にどのような影響を与えるか
〜米韓FTAの下での韓国の医療制度の状況から学ぶ」
2012年
12月12日(水)
「相談事例から見える開業医の諸問題」
10月19日(金)
「日本医師会 医業税制検討委員会 答申(24年3月)の解説」
8月23日(木)
「消費税増税と医療機関の損税問題」
「診療所の増看対策」
4月12日(木)
「
税務調査事例(収益計上時期、措置法26条の適用について)
」
1月13日(金)
「
国庫補助金、圧縮記帳、税額控除について
」
2011年
10月13日(木)
「第5次医療法改正後の医療法人制度」
8月18日(木)
「
歯科医院の収益動向とライフサイクル
」
1月19日(水)
「
医療法人の分院設立事例
」
2010年
10月20日(水)
「
(社)日本医師会が発表した
「平成23年度医療に関する税制に対する意見」について
」
8月19日(木)
「経営計画と税務調査について」
7月15日(木)
「医療法人の設立手続」
6月15日(火)
「医師の相続にかかわる諸問題」
4月8日(木)
「医業税制の疑問点」
1月22日(金)
「看護学生の源泉徴収他」
2009年
12月8日(金)
「個人開業医及び医療法人での医療機器にかかる
特別償却と税額控除について他」
10月14日(水)
「経過措置型医療法人、及び基金拠出型医療法人の税務上の問題点再確認」
9月11日(金)
「レセプトオンライン請求」
7月15日(水)
「医科歯科医院の売上推移と損益について」
「医療法人の設立について」
6月11日(木)
「先端治療の歯科医の経営事例」
4月7日(火)
「
診療報酬のファクタリングと社会医療行為別調査について
」
1月22日(木)
「これからの歯科医院と会計事務所、過誤返戻の実務」
2008年
10月7日(火)
「
判例研究
」
2月5日(火)
「改正パート労働法と助成金情報」
1月21日(月)
「歯科医院の経営展望と新しい経営スタイルを考える」
2007年
7月5日(木)
「
持分なし医療法人制度への移行に関して
」
「
医療法人定款変更に関して
」
6月7日(木)
「措置法26条の選択と
青色専従者給与の支給について」
5月10日(木)
「MS法人」
4月10日(火)
「実例による医者の2極分化」
2月5日(月)
「医業の税務調査、税務行政」
「年間スケジュールの決定」
1月22日(月)
「
医療法改正のポイント〜医療法人制度を中心に
」
2006年
11月9日(木)
「病院会計準則について」
10月4日(水)
「
出資限度額法人の実務
」
9月4日(月)
「
診療報酬改定の影響について(その2)
」
7月10日(月)
「
4月診療報酬改定の影響
」
「年間スケジュールの決定」
6月20日(火)
「医療機関の危機管理」
◆
今後の予定は
「年間行事予定」
のページをご覧ください。
◆ 医業税制研究部の紹介
医業税制、医療経営問題は、税務、会計、一人医療法人、MS法人、医業の開業や廃業など税理士の業務の中でも特殊な知識と経験が必要とされる分野です。
医業税制研究部では、新人会会員が登録制で部員となり、会員の顧問先などの事例研究とともに、時々の課題を発表するテーマ研究を行っています。
事例研究では、会員が医院経営の実際のデーターを持ち寄る事により、具体的な医院経営と会計税務の実態、日々の実務ノウハウまで判ると好評です。
課題報告では、医院経営をめぐり最近注目されている消費税ゼロ税率や事業税非課税制度の是非などの制度問題も含めた医業税制が抱える問題点を取り上げて報告がなされます。
現在医業税制を実務処理している会員もそうでない会員も、是非医業税制研究部に登録していただく事をお勧めします。尚、会費は無料です。
◎
2017年7月13日
医療法人の終い方
一人医師医療法人制度が昭和60年12月の医療法一部改正(昭和61年10月施行)により設けられ、節税になるということもあり 一人医師医療法人の設立は最初の5年間で1万件近くなり、その後も毎年2千件のペースで増え続け、 平成19年には約3万7千件になり現在では4万件を超えています。
あるとき関与先の医療法人の院長が高齢になり息子に引継いだがその後息子が失踪し診療の継続が困難になり認可庁へ相談に行くも 解散の許可が下りませんでした。大阪府医師会の医療法人設立の説明会でも「一旦医療法人にすると、解散するのは非常に困難となるため よく考えてからにして下さい」とのことでしたが、そのとおりでした。
それから10数年経ち、最近では官報でも医療法人の解散公告を目にするようになりました。 ちょうど設立ラッシュのときの医師たちが高齢になり診療が継続できないが解散することも出来ず、そのまま放置される医療法人が増え、 認可庁も解散を認めざるを得なくなったようです。大阪府のホームページには解散認可申請の申請手続きの流れや申請書類のフォーム等が掲載されていて 便利です。
当事務所でもここ数年で2件の解散と1件の法人格の譲渡がありました。いずれも出資持分ありの医療法人でした。 解散も設立や定款変更の手続きと同様に認可庁の認可を受けなければなりません。 そのため認可庁へ事前相談をしてから半年から1年はかかります。 法人格の譲渡が出来れば、解散の手続きが不要のうえ法人格を売却することにより譲渡益も生じるため、終い方としてはお勧めかもしれません。
◎
2016年10月20日
社会福祉法改正
1. これまでの経緯
・2011年7月7日:キャノングローバル研究所松山幸弘氏らによる「社会福祉法人たたき」始まる
・2014年7月4日:社会福祉法人の在り方等に関する検討会から「社会福祉制度の在り方について」が発出
・2014年8月〜2015年2月:厚生労働省社会保障審議会福祉部会による審議開始。第1回〜第15回
・2015年4月3日:「社会福祉法等の一部を改正する法律案」の閣議決定
・2016年3月31日:衆議院本会議において可決、成立公布へ
・2016年4月〜10月:「上記福祉部会による審議再開第16回〜第19回」開催
・2016年4月〜10月:「社会福祉法人の財務規律の向上に係る検討会第1回〜第5回」開催
・2016年7月8日:行政向けの厚生労働省による「社会福祉法人制度改革の施行に向けた全国担当者説明会」が霞ヶ関で開催
・2016年8月〜:社会福祉法人向けの所轄行政庁による説明会が各地で開催
・2016年9月27日:「社会福祉法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令案」、「社会福祉法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案」がパブコメに付される。意見募集は10月26日まで
・2016年11月〜(予定):「社会福祉法人制度改革の施行に向けた全国担当者説明会 第2回」が開催予定(顧客である社会福祉法人に各行政から案内があるため、担当者は必聴)
2. 社会福祉法人制度改革の主な変更点
1) 経営組織のガバナンスの強化
○ 議決機関としての評議員会を必置(小規模法人について評議員定数の経過措置)、一定規模以上の法人への会計監査人の導入等
2) 事業運営の透明性の向上
○ 財務諸表・現況報告書・役員報酬基準等の公表に係る規定の整備等
3) 財務規律の強化
○ 役員報酬基準の作成と公表、役員等関係者への特別の利益供与の禁止等
○ 「社会福祉充実残額(再投下財産額)」(純資産の額から事業の継続に必要な財産額(※)を控除等した額)の明確化
※(1)事業に活用する土地、建物等 (2)建物の建替、修繕に要する資金 (3)必要な運転資金 (4)[基本金及び国庫補助等特別積立金
○ 「社会福祉充実残額」を保有する法人に対して、社会福祉事業又は公益事業の新規実施・拡充に係る計画の作成を義務付け等
4) 地域における公益的な取り組みを実施する責務
○ 社会福祉事業及び公益事業を行うに当たって、無料又は低額な料金で福祉サービスを提供することを責務として規定
5) 行政の関与の在り方
○ 所轄庁による指導監督の機能強化、国・都道府県・市の連携等
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2016年8月22日
Q&Aでみる医業関連基本知識
8月の医業税制研究会では、会計事務所サイドで知っておいてよい医業・医療法人関係の知識 (診療所の定義、開設者、管理医の要件、標榜科目の規制、クリニックの名称、薬局、医師の応召義務、無診投薬、診療値引き、 帳簿等の保存、請求(レセプト)の時効期間、保険外の費用、健康保険法の規定、当座振込通知書の見方、支払調書の注意点、 医療法人の業務、医療法人の役員に任期、医療保人の分割、医療法人の解散 等)について広く浅くQ&A方式でみました。
スペースの関係で一つだけ紹介します。
■Q28 医療法人の理事長は、自己の職務執行状況について3ヶ月に1回以上報告しなければならない。(答えは、〇か×とします。)
■A28 〇
この取扱いは、第7次医療法改正により、医療法人のガバナンス強化の一環として法定化されたものです。
・医療法
第46条の7の2 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十一条から第九十八条まで(第九十一条第一項各号及び第九十二条第一項を除く。) の規定は、社団たる医療法人及び財団たる医療法人の理事会について準用する。(施行日:平成28年9月1日)
・一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
(理事会設置一般社団法人の理事の権限)
第91条
一 代表理事
二 代表理事以外の理事であって、理事会の決議によって理事会設置一般社団法人の業務を執行する理事として選定されたもの
2 前項各号に掲げる理事は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。 ただし、定款で毎事業年度に四箇月を超える間隔で二回以上その報告をしなければならない旨を定めた場合は、この限りでない。
厚労省HPでは、「モデル定款等は法改正を踏まえて改正したが、医療法人においては、定款・寄附行為を施行するまでに必ずしも改正する必要はない。」 (医療法人・医業経営のホームページのトピックス→「医療法の一部を改正する法律について(2016年05月19日掲載)」P21)となっていますが、 大阪府HPには「改正医療法の施行に伴い、医療法人は法施行後2年以内(平成28年9月1日から平成30年8月31日の間)に定款(寄附行為)の変更が必要です。」 ただ提出書類については「現在、厚生労働省に確認中です。」(2016.08.05現在)との記載があります。
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2015年12月17日
医療法改正と医療法人
今回の医療法の主な改正内容は「地域医療連携推進法人制度の創設」と「医療法人制度の見直し」。
後者は、(1)医療法人の経営の透明性の確保及びガバナンスの強化(2)医療法人の分割(3)社会医療法人の認定、のそれぞれに関する項目。
実際の施行は、2年(一部は1年)以内の政令公布によるため現時点では不明点があるが、今回は実務への影響が確実な(1)について確認した。
厚生労働省令基準該当医療法人は、公益法人会計基準に準拠した会計基準によって決算書を作成し、公認会計士等の監査を経て、 理事会、社員総会の承認のうえ公告することになる。一人医師医療法人など大半の小規模法人は該当しないとみられる。
従来の事業報告書等に加えて、医療法人やその役員の特殊関係者との取引報告書を作成、届け出ることが義務化された。 その取引内容が市場価格と比較して相当高額であり、実質的な配当に該当する場合には、都道府県知事の指導監督の対象となり、 法人の理事等については罰則規定の対象にもなる。会計帳簿や重大な資料はその閉鎖時から、また貸借対照表及び損益計算書はその作成時から、 それぞれ10年間の保存が義務化された。
その他に理事、監事等の役員の損害賠償責任等が医療法上で規定されている。
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2015年10月9日
開業医の経営形態を巡る税対策 ―個人、医療法人、MS法人、「持分あり医療法人」―
1.個人経営
(1)白色申告者
記帳のない白色申告者は社会保険診療収入は措置法26条を適用し、自由診療収入は所得標準率と特別経費で計算し、雑収入と合算して事業所得を計算する。 現在、白色申告者も記帳が義務化され、所得標準率の適用を認めていない。しかし、記帳がない場合は所得標準率で計算するしかない。 なお、現在は社会保険診療収入が5000万円以下でも、医業に係る収入が7000万円を超えた場合は、措置法26条は適用できない。
(2)青色申告者
青色申告者で措置法26条が適用できる場合は、措置法経費と実額経費との差額を措置法差額として必要経費に算入できる。 青色専従者給与は措置法26条を適用する場合、所得税の節税効果はあまりないが、配偶者への資産分割という点では相続税対策になる。
2.医療法人経営
措置法26条が適用できなくなり、さらに税対策が必要になってくれば、医療法人のメリット・デメリットを説明し、 個人から医療法人への転換をアドバイスする。従来、医療法人は持分の定めのある社団を設立していたが、 現在は持分の定めのない社団か基金拠出型の社団しか設立できない。 医療法人の解散時点で、医療法人に財産が残っていれば国などに没収されるが、医療法人に財産が残らないようにすれば問題はない。
3.MS法人の併設
MS(メディカルサービス)法人は決して節税にはならない。余分な手間と出費がかさむだけである。MS法人はお薦めではない。
4.「持分の定めのある医療法人」の相続税・贈与税対策
(1)医療法人に財産を残さない経常的な対策
(2)「持分の定めのない医療法人」への移行対策(厚生労働省の認定制度)
(なお、 詳しくは「大阪税経新人会ニュース」の12月号を参照してください。)
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2015年6月18日
「基金拠出型医療法人」の設立について
基金拠出型医療法人設立のデメリットとしてクローズアップされているのが、医療法人が解散した場合、残余財産が出資者に戻ってこない、 つまり「解散後の財産は国等のものになる」とする規定です。
しかし、法人設立は継続が前提で、そもそも解散しなければ、財産は国等に帰属されることはなく、解散時に財産が残っていなければ、 残余財産の帰属制限は何も問題になりません。
基金拠出型医療法人の場合、拠出した財産は一定の要件をみたせば返還を受けることが出来ます。
この返還を受けることができる基金は相続税の課税対象になりますが、拠出者が出資持分を持つことがありませんので、 医療法人内部にいくら財産があってもこの財産に対しては、相続税を課税されることはありません。
反対に経過型医療法人の場合は、内部蓄積金額により出資持分をどのように移していくのかということが医療法人の事業承継ポイントとなります。
基金拠出型医療法人に利益が生じ、財産価値が出資した以上に増加したとしても、財産の評価は設立当初の金額とされるので、 相続・事業承継を円滑に進めやすくなります。
後継者がいる場合、解散を前提に設立することはなく、後継者がいない場合でも医療法人であれば、理事長など役員を変更するだけで、 引き続き経営を行うことが可能です。
毎年の役員報酬を設定、役員退職金等で残余財産の帰属先問題を解消できるかが医療法人設立の一つのポイントかもしれませんが、 一人医師医療法人は、他の医療法人と医療法上、設立・運営・権利・及び義務に関してなんら区別はありません。
今後は税金対策以外にも医療法人本来の趣旨を把握しながら前向きな設立を考えることも大切ではないでしょうか。
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2014年6月19日
医療法人とサービス付き高齢者向け住宅について
1)サービス付き高齢者向け住宅(以下「サ高住」)の概要
2011年4月27日「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」が改正、同年10月20日に施行。
一定の要件を満たせば、サ高住には、補助金や税制の優遇などがある。
2)サービス付き高齢者向け住宅の開設スケジュールとその注意点
法人内事前打合せ
↓ 1〜2ヶ月
建築確認申請
↓ 3ヶ月
登録申請・補助金申請
↓ 2ヶ月
工事期間
↓ 6ヶ月〜1年
開所
医療法人が開設する場合には、府庁での定款変更の認可が必要になる。
登録申請の際、変更後の定款が添付要件になっているが、実際には申請時に添付することは不可能なので、 定款変更が認可されたら速やかに提出する旨の書面を提出することになる。
3)事業損益予想計画書の作成
4)医療法人がサービス付き高齢者向け住宅を運営するメリット
・医療機関が経営する高齢者住宅は、医療必要度が高い人が入居可能
・入居者にとって、要介護度が進んでも、退去させられないという安心感があり、民間企業の住宅と差別化できる
・訪問診療・看護、訪問介護などの報酬アップが期待できる
→2014年4月の報酬改定により「同一建物・複数人に訪問する場合」の点数が現行の約4分の1に引下げられたため、かなりの減収となる。
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2014年1月16日
医療法人の事業承継Q&A
本日二つ目の原稿です(詳しくは厚生部のページをご覧ください)。
今回は、私が共著で出版した書籍(「医療法人の事業承継Q&A」実務出版。担当の方からコマーシャルOKと言われましたので。 皆さん、ぜひお買い上げくださいませ)のうち、本題のところ(平成19年改正以前と以後の医療法人の違い、現状の医療法人の種類、 そこから派生する事業承継問題の処理方法。松谷会員からも賞賛をいただきました!)についてはさわりだけ触れ、 主には私の担当した部分(医療法人の相続税対策部分)を題材に研究を行いました。
他には医療法人の相続に関する色々な事例が部員の皆様から出され、それに対する回答がもたらされました。
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2012年4月12日
税務調査事例(収益計上時期、措置法26条の適用について)
個人開業医の税務調査において、保険収入の請求を繰延べた結果、H19年の保険収入が5,000万円以下となり、 措置法26条を適用して申告していることについて、収入計上時期に問題があり措置法が不適用である旨の指摘を受けた。
税法上、診療報酬の収入計上時期はその診療行為などの役務の提供が完了した時とされている。 具体的には、個々に診療を行った時ということになり、保険請求の時ではなく、診療月の月末である。 よって、翌年に繰延べた保険収入はH19年に計上すべきであるということであった。
この結果、H19年の保険収入が5,000万円超となり措置法が不適用となり実額計算となった。 ただ、あまりにも所得率が高くなるため、H20年の経費率を参考に一部経費の計上を認めてもらった。
逆に、H20年は保険収入が5,000万円以下となり、たまたま期限内確定申告書の適用条文欄に措置法26条と記入されていたこともあって、 実額計算を変更し、措置法26条を適用して所得計算の減額更正を行った。
調査事例ではないが、期末未収金に計上すべき金額について、振込通知書の確定金額か、又はレセプト請求金額にすべきかの意見交換も行った。 意見が二分されていたが、過誤調整等金額に大きな変動がなければ振込通知書の金額でもいいのではということであった。
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2012年1月13日
国庫補助金、圧縮記帳、税額控除について
レセコン導入のための補助金(以下「補助金」)がそもそも国庫補助金に該当するのかという質問を受けた。
補助金の申請先及び交付は支払基金となっているが、この交付事業は国の補正予算に盛り込まれた厚労省所管の医療施設等設備整備費助成事業として 施行されたもので国の補助金に該当する。国庫補助金の圧縮記帳は本法上の規定であり、措法67の5(1)のように他の措法との重複適用も可能。 措法67の5(1)により圧縮後の取得価額が30万円未満となる場合は結果的にゼロとなる。
ただしこの補助金は、最高でも50万円と少額であり、圧縮記帳した場合としない場合とで税額の比較をすると圧縮記帳をしない方が 償却期間全体では税額が少なくなることもある。B医療法人はカルテの電子化に伴い所有権移転外リース契約で更新したソフトウエアを賃貸借処理していた。 税法は「取得」だから措法42の6(2)を適用した。
後日調査官から貸借対照表にも別表16(1)にも対象資産の記入がない理由を尋ねられ、一瞬「???」だったが、 資料を見返すとリース物件を税額控除していたことを思い出した。 決算書に所有権移転外リース契約や税額控除の注記でもしておけば、余計な調査もなかったと思う。
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2011年8月18日
歯科医院の収益動向とライフサイクル
ここ10年間の歯科医院の動向を実際の医院をもとに分析してみると、一部の医院を除き収入は減少傾向にある。平均すると約20%減少している。
原因としては院長の高齢化、歯科医師の増加等があげられるが、今後もこの傾向は続くであろう。
国家試験の合格率も近年下がってきているようで、歯学部卒業しても歯科医師になれないケースも出始めているそのような現状をふまえたとき、 医院の継承や、新規開業に慎重にならざるを得ないのではないか。
今後の医院経営の生き残りを考えるならば、自費診療に積極的に取組むことなど、経営感覚が重要になってくるというのが当日の大方の議論の帰趨であった。
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2011年1月19日
医療法人の分院設立事例
一人医師医療法人では、分院を設立するケースは少ないようです。 この度、たまたま機会があり、分院設立の手続きをすることとなったため、設立に至る経緯と手続きの手順及び注意点についてお話いたしました。
【ケース1】
がん治療専門クリニック → 美容皮膚科の分院設立
東京で肌細胞注入療法をメインとする美容皮膚科の診療所が盛況と聞き、当時、関西では同様の診療所が1つしかなかったこともあり 、美容皮膚科の診療所を開設した。
【ケース2】
在宅診療を積極的に行っているクリニック → 老人ホーム内に分院設立
紹介により北摂地域の介護付き老人ホームから入居者を診てもらいたいとの依頼があったが、在宅でいける範囲(診療所から半径16km)を超えていたので、 その老人ホーム内に診療所を開設した。
【手続き】
定款変更申請の前に、保健所へ診療所のレイアウト、名称の確認を行います。
定款変更申請は、補正がなければ、提出後2週間程度で認可が下りますので、開院のスケジュールにも注意が必要です。
認可後は登記申請、保健所への開設許可申請、開設届の提出、近畿厚生局への保険医療機関指定申請と、医療法人の設立と同様になります。
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2010年10月20日
(社)日本医師会が発表した「平成23年度医療に関する税制に対する意見」について
(社)日本医師会は毎年、税制改正が政府内で議論され始める頃にあわせて税制に対する要望を発表していますが、 その平成23年度版を検討してみました。ここでは主なところだけ紹介します。
まず、最初にあげられているのが、消費税の仕入税額控除への要望です。
医療機関の場合、社会保険診療が非課税取引のため消費税の仕入税額控除がほぼできませんが、仕入税額控除ができるように、 また当面の措置として設備投資分だけでも仕入税額控除をという要望です。 消費税の税率アップが議論されているなかで、消費税についての負担が切実さをましている状況を反映したものだと思われます。
医療法改正に伴う経過措置のところでは、医業の承継に伴う相続税・贈与税への要望が出されています。 基本的には医業の承継時に税を課さない、また税を課すにしても軽課すべきという要望です。 具体的な措置の一つとして経過措置型医療法人が持分なしの医療法人に移行する場合にみなし配当やみなし贈与といった課税をしないことを要望しています。
また基金拠出型医療法人のため医業用資産を現物基金拠出した場合の、拠出者に対する譲渡所得課税を 拠出時から返還時に繰り延べることも要望としてあがっています。
あと我々の身近な問題として特別償却の適用範囲の拡大などもあげられています。
要望全体の基調は医業の公益性を鑑みての税の軽課です。 しかし、国民的合意をどこまで得られるのか、微妙な問題もあるように思われました。 また、要望項目をみるなかで、改めて現行の税制の確認になりました。
◎
2009年7月15日
医科歯科医院の売上推移と損益について
医科が18件、歯科が13件分の平成5年から平成20年分の売上高の推移と、平成20年分の損益の数字をもとに、各医院の特徴などが報告された。
医科歯科の損益などは、その平均値から各顧問先の経費割合などが比較できるので、大いに参考になった。
医療法人の設立について
平成18年の医療制度改革によって、医療法が改正され、従来の出資による「持分あり医療法人」の設立は認められず、「持分なし医療法人」として、 法人運営に必要な資産を基金に拠出することになった。 現在の取り扱いでは、その拠出した基金は拠出した金額を限度として戻ってくるが、解散時に基金を超える残余財産については、国・地方公共団体等に帰属させることになっている。
この基金については、未だにその取り扱いがはっきりしていない部分が残っているので、注意が必要である。
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2009年4月7日
診療報酬のファクタリングと社会医療行為別調査について
1)診療報酬のファクタリング ここで「ファクタリング」といっているのは売掛債権を現金化するために譲渡する(割引く)ことを指しています。
今回の診療報酬のファクタリングというのは診療報酬の請求権を金融会社に譲渡することにより、通常二ヵ月後に入金されるところを請求の当月に入金してもらうということを目的にしたものです。
実際の利用例を紹介しました。割引率は月利で0.825%です。結構高い率です。
2)平成19年度社会医療診療行為別調査結果の分析
この平成19年度社会医療診療行為別調査というのは厚生労働省が平成19年6月分の保険診療について調査した結果をまとめたものです。医科、歯科の別に様々な調査結果がまとめられています。
診療行為別にみた入院外のレセプト一件あたりの点数をみると、医科の場合平成18年は1235.8点、平成19年では1227.5点で点数にして8.3点の減少となっています。 歯科の場合はレセプト一件あたりの点数は平成18年が1255.8点、平成19年では1339.8点で83.9点増えています。
◎
2008年10月7日
判例研究
1)役員退職給与、役員交代報酬等を激減した場合等であっても退職には当たらないと判断された事例
2)歯科矯正医の収入金額計上日、訴訟において問題となる経費の否認事案
3)医師の死亡による従業員退職金の取扱
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2007年7月5日
持分なし医療法人制度への移行に関して
・ 総合規制改革会議により出資者の財産が保全されている現行の医療法人は株式会社との差がないとして 株式会社算入の口実にされていることに対処する必要(厚労省)
・ 今後「当分の間」とされている持分なし法人への移行について、十分その経過を注意する必要がある
医療法人定款変更に関して
・ 監事が業務監査まで実施することになり税理士等が監事になっている場合の法的責任問題が議論された。
・ 3月以内に事業報告書(事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書)監査報告書を知事宛に届出する義務が生じる事になった。
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2007年1月22日
医療法改正のポイント〜医療法人制度を中心に
昨年は会社法の施行に伴い会社の決算書類として株主資本等変動計算書や注記表など目新しい計算書類が登場したが、 今年4月1日以降開始会計年度からは医療法改定に伴い、改定前に認可・設立された医療法人においても一定の対応が必要になってきます。
まず今回の改定で大きく変わる点は、今年4月1日以後設立認可申請する医療法人は、解散した場合、その残余財産は 「・・・国もしくは地方公共団体又は(新法適用の)医療法人その他の医療を提供する者であって厚生労働省令で定めるもの」(医療法44条)に 帰属することになった点です。
ただし既存の「出資持分のある社団」医療法人は経過措置として「当分の間は、・・・(新医療法の)規定は適用しない」とされました。
その他には、従来毎会計年度終了後2ヶ月以内とされていた都道府県知事への決算届が3ヶ月以内とされ、届出書類に 「事業報告書、監事の監査報告書」が追加されています。
大阪府医師会に問い合わせたところ、定款変更の認可申請は、個々の医療法人で大阪府に申請することになります。 まだ厚労省令が出ておらず定款のモデルや決算届の書式等もないが、今後医療法の改定に伴う諸手続き等については、 問い合わせ等には対応していきたいとのことでした。
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2006年10月4日
出資限度額法人の実務
医療法人制度の改革により今後は、従来の1人医師医療法人(持分に定めの無い法人)の設立が認められなくなる。
出資額限度法人は、社員の退社時や法人解散時には、出資額を限度として払い戻す法人である。 法律上は出資額限度法人が、従来の持分に定めのない法人に後戻りする事は禁止されていないが、行政指導上は、後戻りが不可能である。
法的には後戻りが可能であるとの「理由」により、同族出資割合が50%以下である等一定の条件を充足しない限り、 退社時のみなし贈与課税や死亡時の相続課税が発生する。この点が大きな矛盾点となっているので今後更に検討が必要である。
次回は、改正された病院会計準則についての報告
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2006年9月4日
診療報酬改定の影響について(その2)
1)診療報酬改定の影響について(西田会員)
医科、歯科の4月データーを基に、診療報酬改定の影響を報告
その他、今後1人医師医療法人について、出資限度額法人以外に設立できなくなる問題について、 現行の1人医師医療法人設立期限について、19年1月申請も可能ではないかとの報告
その他大阪府医療指導課の役員貸付金等について検討
2)その他検討事項
リースについて、薬事法等の改正で、MS法人取得に種々の条件が付されることになった(H16/4)が、 機器の管理者について外部委託をするケースの報告
MS法人のリース期間経過後の再リース料について、調査事例の報告
3)年間スケジュールの確定
年間スケジュールを再度検討して、確定
11月9日、鳥居、小塩報告は、「病院会計準則について」とする事に決定
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2006年7月10日
4月診療報酬改定の影響
今回は、18年4月に実施された診療報酬の大幅改悪の実態をデーター等で検証しました。 資料として、会員の顧問先の診療報酬4月分を前年度と比較したものを持ち寄りました。また、社会保険診療報酬支払基金の支払実績を検討しました。
その結果、歯科では、平均して前年比6.2%の減収となっている事。医科では、入院に比べて特に外来の報酬が減少している事(前年比7%程度の減収)。 医科歯科共通して老人の診療報酬が大幅に減少している事が明らかになりました。
また診療抑制と患者あたりの単価減少も報告されました。 歯科などでは社保の減収を補うために自費診療割合が増加しているのではないかと思われる実例報告もなされました。
今後医科歯科問わず、診療所間での格差が広がる傾向が懸念される点も報告され、これはまた次の研究テーマとする事になりました。
次に、今年度の研究テーマと体制を決定しました。別紙の通り会員がテーマを報告する事になっています。
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